PGT 着床前遺伝学的検査


着床前遺伝学的検査(PGT)とは
着床前遺伝学的検査(PGT)とは、体外受精によって得られた胚盤胞(受精卵)の一部を採取して、染色体や遺伝子の解析を行う検査です。不妊症のご夫婦を対象に検査を実施することで、流産率の低下や妊娠率の向上などが期待できます。着床前遺伝学的検査は実施する目的によって、PGT-A・PGT-SR とPGT-Mに分けられます。
検査目的
PGT-A
着床前胚染色体異数性検査
PGT-SR
着床前胚染色体構造異常検査
胚染色体の過不足による流産や、
体外受精の不成功を避ける目的で行う検査です。
PGT-M
重篤な遺伝性疾患を対象とした
着床前遺伝学的検査
胚(受精卵)が重篤な遺伝性疾患の特徴を引き継いでいないか
調べる目的で行う検査です。
保険診療との併用は
禁じられています
PGTは自費診療です。混合診療は禁じられているため、
2025年5月現在、保険診療で採卵した胚についてPGTを実施したり、PGTを実施した胚を保険診療で胚移植することはできません。
そのため、PGTを希望する方は、本検査だけでなく採卵と胚移植も自費診療で行う必要があります。
PGT-A・PGT-SR について
PGT-A/SRは、日本産科婦人科学会が主導する特別臨床研究としてご案内していましたが、2022年9月1日より、一般的な検査と同様に患者さんにご案内することができるようになりました。しかし、希望者が自由に受けられる検査ではなく、胚移植歴や流産歴、夫婦の染色体検査結果などの条件を満たしている方を対象に、日本産科婦人科学会に認可された施設で行う検査です。
当クリニックでは、PGT-A/SRの相談を受け付けておりますので、検査内容についてご興味のある方は診察時にお気軽にお申し出ください。
検査の対象者
PGT-A/SRは原則、同じ検査方法(次世代シーケンサーによる解析)で評価を行います。
各検査の条件を満たす方で、PGT-A/SRをご希望の方はお気軽にご相談ください。患者さんと相談の上で、系列クリニックである「浅田レディース名古屋駅前クリニック」での検査の実施をご案内することが可能です。
PGT-A
これまでに2回以上体外受精胚移植の不成功の経験がある、または、これまでに2回以上流死産の経験があるご夫婦。
移植不成功や流産が連続している必要はありません。また、移植不成功や流産が直近の移植または妊娠である必要はありません。
PGT-SR
ご夫婦いずれかの染色体構造異常(均衡型染色体転座など)が確認されているご夫婦。
ご夫婦の不妊治療経験もしくは妊娠歴・流死産経験の有無は問われません


PGT-M について
重篤な遺伝性疾患を持つご夫婦を対象に、受精卵(胚)の遺伝子検査を行います。受精卵の中で、病気の原因となる遺伝学的特徴を持たない胚を識別して移植することにより、重篤な遺伝性疾患を予防することが期待できます。
当クリニックでは、PGT-Mの相談を受け付けており、検査内容についてご興味のある方は診察時にお気軽にお申し出ください。
検査の対象者
PGT-Mは、「原則、成人に達する以前に日常生活を強く損なう症状が出現したり、生存が危ぶまれる状況になり、現時点でそれを回避するために有効な治療法がないか、あるいは高度かつ侵襲度の高い治療を行う必要がある状態」に該当する方を対象としています。
PGT-Mを希望するご夫婦ごとに、日本産科婦人科学会で上記の基準に適合するかどうかの審査が行われます。そのため、検査の案内までには数カ月単位の時間を要するほか、学会での承認が得られない場合は、検査を希望しても受けることができません。
PGT-Mは限られた医療機関でしか実施できません
PGT-Mは、以下の条件を満たしている医療機関でしか実施することができません。
- 体外受精や遺伝学的解析だけでなく、遺伝学的に十分な説明やカウンセリングも実施できる体制を整えている。
- 倫理的な観点から公平に検討するための施設内倫理委員会を備えている。
- 日本産科婦人科学会の認可を受けている。
現状、日本国内では上記の条件を満たす医療機関の数が少ないものの(※)、系列クリニックである「浅田レディース名古屋駅前クリニック」でPGT-Mを実施できるため、患者さんと相談の上、紹介することが可能です。
全国38施設 (2025年4月現在)